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「鳴かぬなら殺してしまえ」←一言も言ってません
織田信長といえば、冷酷で短気な「魔王」のイメージが定着しています。 その性格を決定づけているのが、「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」という有名な句でしょう。思い通りにならないなら力で排除する、いかにも信長らしい合理性と残虐さを表した言葉として知られています。
しかし、これは信長本人が残した発言として確認されている言葉ではありません。
この句が確認できる有名な資料の一つが、信長の死から200年以上後に書かれた、江戸時代後期の平戸藩主・松浦静山の随筆『甲子夜話(かっしやわ)』です。巻53では、信長・秀吉・家康の性格に重ねた句として紹介され、もともと本人たちに仮託したもの、つまり後世の人がその人物らしく作った話であることが示されています。いわば「イメージ川柳」なのです。
現代の私たちが思い描く「短気ですぐ人を斬る信長像」には、江戸時代以降の読み物や、現代のドラマ・漫画などによって強調されたキャラクターも重なっています。実際の手紙や記録を真面目に読んでいくと、この「殺してしまえ」の句とはまったく違う、妙に人間臭くて面倒見のいい信長の姿が浮かび上がってきます。



