01
『おくのほそ道』の異常な歩行スピード
松尾芭蕉の旅は、速さの謎から俳諧の革命へ続いている。この節では、『おくのほそ道』の異常な歩行スピードをその切り口から読みます。
松尾芭蕉の代表作『おくのほそ道』は、弟子の曾良(そら)と共に、江戸から東北、北陸を巡って大垣(岐阜県)に至る約2400キロの旅の記録です。この旅に出た時、芭蕉はすでに40代半ばでしたが、日程だけを追うと1日に数十キロという凄まじい速度になります。そこで本文を調べると、読者が読んでいるのは旅程表そのものではなく、推敲された文学作品です。速すぎる歩行が忍者説を生んだ一方、芭蕉は旅をそのまま写したのではなく、現実の移動を作品の時間へ作り替えたのです。
『おくのほそ道』の異常な歩行スピード
Generated illustration: are-iina
