01
漆黒の海から現れるツルツルの巨人
穏やかだった夜の海が突然大荒れになり、波間から巨大な黒い影がヌーッと姿を現します。
毛のないツルツルとした頭に、ギラギラと光る巨大な目。これこそが船乗りたちを最も恐怖させた「海坊主(うみぼうず)」です。船を丸ごと叩き割ったり、波を起こして転覆させたりと、遭遇すれば命はないとされる海のトップクラスの怪異です。


うみぼうず
海坊主
01
穏やかだった夜の海が突然大荒れになり、波間から巨大な黒い影がヌーッと姿を現します。
毛のないツルツルとした頭に、ギラギラと光る巨大な目。これこそが船乗りたちを最も恐怖させた「海坊主(うみぼうず)」です。船を丸ごと叩き割ったり、波を起こして転覆させたりと、遭遇すれば命はないとされる海のトップクラスの怪異です。

02
海坊主の奇妙な特徴として、船を力任せに壊すのではなく、船員に向かって低い声で「柄杓(ひしゃく)を貸せ」と要求してくるパターンがあります。
もし恐怖のあまり普通の柄杓を渡してしまうと、海坊主はその柄杓を使って、ものすごいスピードで海水を船の中に汲み入れ始めます。あっという間に船は水浸しになり、そのまま海の底へ沈没させられてしまうのです。わざわざ手作業で船を沈めるという、妙に律儀な嫌がらせです。

03
しかし、歴戦の船乗りたちはこの海坊主のトラップに対する完璧な攻略法を知っていました。
海に出る際、あらかじめ「底をくり抜いた柄杓(底なし柄杓)」を用意しておくのです。海坊主に「柄杓をよこせ」と言われたら、すかさずその底が抜けた柄杓を渡します。海坊主はそれに気づかず、底のない柄杓で必死に海水を汲もうとしますが、水はすり抜けて一滴も汲めません。「あれ? あれ?」と海坊主が真面目に水を汲み直して首を傾げている隙に、船は全速力で逃げ切るのです。恐ろしい海の巨人が見せる、拍子抜けするほど単純な知恵比べです。

SAME CATALOG