01
木からぶら下がる「馬の生首」
夜の暗い田舎道を歩いていると、道の脇に立つ大きな榎(エノキ)の木の枝から、何かが「ドサッ」とぶら下がってきます。
見上げると、それはなんと「巨大な馬の生首(または馬の頭部)」なのです。これが妖怪「さがり」です。鳥山石燕の絵では、木の枝から馬の首だけがニョキッと垂れ下がり、目をひん剥いて不気味にこちらを見下ろしている様子が描かれています。


みつ
さがり
01
夜の暗い田舎道を歩いていると、道の脇に立つ大きな榎(エノキ)の木の枝から、何かが「ドサッ」とぶら下がってきます。
見上げると、それはなんと「巨大な馬の生首(または馬の頭部)」なのです。これが妖怪「さがり」です。鳥山石燕の絵では、木の枝から馬の首だけがニョキッと垂れ下がり、目をひん剥いて不気味にこちらを見下ろしている様子が描かれています。

02
さがりは、人間を噛み殺したりする物理的な攻撃はしません。しかし、暗闇で突然「ヒヒーン!」といななきながら馬の首が落ちてきたら、恐怖で腰を抜かしてしまいます。
伝承によると、この「さがり」を見てしまった人間は、恐怖のあまり「原因不明の高熱(熱病)」を出して何日も寝込んでしまうとされています。実体のある怪物というよりは、ショック症状を引き起こす「呪いの視覚的ギミック」のような妖怪です。

03
なぜ「木から馬の首が下がる」という奇妙な妖怪が生まれたのでしょうか。
昔は農耕馬が病気になったり年老いて使えなくなったりすると、山に捨ててしまう(あるいは木の枝に繋いでそのまま餓死させる)という残酷な風習があった地域がありました。そのようにして苦しみながら死んでいった馬たちの怨念が、夜の木の下を通る人間に「馬の首」として復讐(あるいはアピール)しているのではないかと推測されています。人間の罪悪感が生み出した、悲しい怪異です。

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