01
誰もいない夜道での「クイッ」
夕暮れ時、田舎の暗い夜道を一人で急いで歩いていると、突然、後ろから自分の着物の袖(そで)を「クイッ」と引っ張られます。
「誰だろう?」と思って後ろを振り返っても、そこには誰もいません。気のせいかと思って歩き出すと、また「クイッ」と袖を引かれます。これが「袖引小僧(そでひきこぞう)」です。


そでひきこぞう
袖引小僧
01
夕暮れ時、田舎の暗い夜道を一人で急いで歩いていると、突然、後ろから自分の着物の袖(そで)を「クイッ」と引っ張られます。
「誰だろう?」と思って後ろを振り返っても、そこには誰もいません。気のせいかと思って歩き出すと、また「クイッ」と袖を引かれます。これが「袖引小僧(そでひきこぞう)」です。

02
日本の妖怪には、人を食ったり呪い殺したりする恐ろしいものがたくさんいますが、袖引小僧のやることは「袖を引く」ただそれだけです。
追いかけてきたり、姿を見せて驚かせることすらありません。実害は全くのゼロ。まるで親にはぐれた子供が、通りすがりの大人の気を引くために恐る恐る服を引っ張っているかのような、極めて「かまってちゃん」で孤独な妖怪なのです。

03
この妖怪の正体については、道端にあるお地蔵様や無縁仏が「自分に気づいて供養してほしい」と袖を引いているのだという説や、親を亡くした子供の寂しい霊だという推測があります。
また現実的な解釈としては、夜道で着物の袖が木の枝や草のトゲに引っかかった現象を、「妖怪の仕業」として少し可愛らしく表現したのだとも言われています。恐ろしいというよりは、つい「どうしたの?」と声をかけてあげたくなるような、日本人の情念が生んだ優しい怪異です。

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