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牛から生まれる「人面獣」
江戸時代の瓦版(新聞)に、衝撃的なニュースが掲載されました。「某所の農家で、飼育している牛から『人間の顔を持った子牛』が生まれた」というものです。
これが「件(くだん)」です。この不気味な人面牛は、生まれて数日で命を落としてしまいますが、死ぬ直前に人間の言葉を話し、その年の豊作や凶作、あるいは疫病の流行などの「予言」を残すとされました。その予言は絶対に外れることがない(100%当たる)と信じられていました。


くだん
件
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江戸時代の瓦版(新聞)に、衝撃的なニュースが掲載されました。「某所の農家で、飼育している牛から『人間の顔を持った子牛』が生まれた」というものです。
これが「件(くだん)」です。この不気味な人面牛は、生まれて数日で命を落としてしまいますが、死ぬ直前に人間の言葉を話し、その年の豊作や凶作、あるいは疫病の流行などの「予言」を残すとされました。その予言は絶対に外れることがない(100%当たる)と信じられていました。

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予言が絶対に当たるため、証文などの最後に書く「よって件(くだん)の如し(前記の通り間違いない)」という言葉は、この妖怪が語源だとする説がまことしやかに語られました(実際は順序が逆です)。
また、件が「今年から疫病が流行るが、私の姿を描いた絵を貼っておけば病気にかからない」と予言して死んだという噂が広まり、江戸時代の人々は件の絵を魔除けのお守りとして家に貼り付けるパニック(流行)を引き起こしました。アマビエとよく似た機能を持つ妖怪です。

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件の伝説は江戸時代で終わりませんでした。なんと昭和に入り、第二次世界大戦が激しくなった頃にも「件が生まれた」という噂が日本中に流布しました。
「件が『日本は戦争に負ける』と予言した」という噂や、逆に「日本が勝つと予言した」という噂が、不安な人々の口から口へと広がったのです。社会が極限の不安やパニックに陥った時、人々は「絶対に当たる予言(件)」を求めてしまうという、集団心理のリアルさを映し出す妖怪です。

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