江戸時代の座敷でお茶を飲みながらくつろぐぬらりひょん

ぬらりひょん

ぬらりひょん

ぬらりひょん|「妖怪の総大将」なのに、江戸の絵では妙に偉そうな老人

基本情報

名称
ぬらりひょん
読み
ぬらりひょん
分類
妖怪
主な伝承地
日本各地の妖怪画・怪談・妖怪図鑑など
出現場所
日本各地の妖怪画・怪談
特徴
大きく後ろへ張り出した頭を持つ、和装の老人。後世の妖怪図鑑や解説では、人の家へ入り込み主人のように振る舞うと紹介されることがある
主な伝承・資料
「妖怪の総大将」なのに、江戸の絵ではただの妙に偉そうな老人?

01

「妖怪の総大将」なのに、江戸の絵ではただの妙に偉そうな老人?

現代のぬらりひょんには、「妖怪の総大将」という大物のイメージがあります。

ところが、鳥山石燕が1776年に刊行した『画図百鬼夜行』など、江戸時代の妖怪画に描かれたぬらりひょんを見ると、そこに「妖怪たちを率いる総大将」といった説明が最初から付いているわけではありません。

描かれているのは、大きく張り出した頭を持つ老人。立派な着物をまとい、駕籠から降りるような姿です。

この姿については、遊里へ通う道楽者や、冷やかし客を風刺したものではないかという後世の解釈もあります。ただし、石燕自身がそう説明したわけではないため、あくまで一つの読み方です。

現在の「総大将」と、江戸の絵にいる妙に偉そうなお爺さん。その落差も面白いところです。

遊里の前で駕籠から降りるぬらりひょん

02

勝手に家へ入り込んでも、なぜか「この家の主人」に見えてしまう

ぬらりひょんについては、後世の妖怪図鑑や解説などで、いつの間にか他人の家へ入り込み、まるでその家の主人のように座ってお茶を飲んでいると紹介されることがあります。

普通なら、知らない老人が勝手に家でくつろいでいたら大騒ぎです。

ところが、そのあまりに堂々とした態度のせいか、「この人は、この家の主人なのだろう」と周囲が思い込んでしまい、妖怪だと気づかれない——そんな不思議な存在として語られることがあります。

人を襲う、食べる、呪う。そういった派手な危害を加える話で有名な妖怪ではありません。

頭が大きくて、妙に偉そうなお爺さんが、他人の家で主人のようにお茶を飲んでいる。

それだけなのに妖怪として有名。そこが、ぬらりひょんのかなり珍しいところです。

他人の家で主人のようにお茶を飲むぬらりひょん

03

岡山の海では、ぬらりひょんは「お爺さん」ではない?

現代のぬらりひょんといえば、大きな頭をした着物姿のお爺さんです。

ところが、岡山県の瀬戸内海周辺には、それとはまったく違う「ぬらりひょん」の話があります。

海面に現れるのは老人ではなく、人の頭ほどの大きさの丸い怪異。漁師が捕まえようとすると、ぬらりと海中へ沈み、諦めると別の場所からひょんと浮かび上がってくる——そんな、つかみどころのない海の怪異として語られています。

同じ名前なのに、片方は着物姿のお爺さん。もう片方は海に浮かぶ謎の丸いもの。まるで別の妖怪です。

ただし、海の怪異が後に老人姿へ変化した、と一本の系譜として断定できるわけではありません。

総大将のお爺さんだと思って調べると、最後には海に浮かぶ丸い何かにたどり着く。名前どおり最後までつかみどころのない妖怪です。

瀬戸内海で漁師から逃げる丸いぬらりひょん

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