01
「今もいるぞ」と声をかけるだけの妖怪
熊本県の天草(草積越という峠)を、お婆さんと孫が歩いていました。お婆さんが「昔、このあたりには油すましという妖怪が出たそうだよ」と語りかけると、頭上から突然「今もいるぞ!」と声がし、ガサガサと姿を現したといいます。
伝承に残る油すまし(あぶらすまし)の行動は、実はこれだけです。人を食ったり、襲ったりするわけではなく、自分の噂話に反応して「まだいるよ」と自己主張をしてくるだけの、少しユーモラスで無害な妖怪です。


あぶらすまし
油すまし
01
熊本県の天草(草積越という峠)を、お婆さんと孫が歩いていました。お婆さんが「昔、このあたりには油すましという妖怪が出たそうだよ」と語りかけると、頭上から突然「今もいるぞ!」と声がし、ガサガサと姿を現したといいます。
伝承に残る油すまし(あぶらすまし)の行動は、実はこれだけです。人を食ったり、襲ったりするわけではなく、自分の噂話に反応して「まだいるよ」と自己主張をしてくるだけの、少しユーモラスで無害な妖怪です。

02
なぜ「油すまし」という名前なのでしょうか(※「すます」は油を絞るという意味)。
昔、この地方で菜種油を盗んだ者(あるいは油を搾って隠し持っていた者)がおり、その罪の報いによって妖怪になった、という推測が語り継がれています。昔は油が非常に高価で貴重な生活必需品であったため、油を粗末にしたり盗んだりすることへの戒めが、妖怪伝説として定着したと考えられます。

03
伝承がたった一つしかない超マイナー妖怪だった油すましが、日本で最も有名な妖怪の一角に登り詰めたのは、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』の功績です。
「大きなジャガイモのような頭に蓑(みの)を被り、冷静沈着な将棋好きの長老」というキャラクター設定とビジュアルを与えられたことで、彼は強烈な個性を獲得しました。地方の小さな怪異が、現代のクリエイターの手によって国民的キャラクターへと「大出世」を果たした奇跡の妖怪です。

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