煙々羅

えんえんら

煙々羅

煙々羅|煙の中に顔が浮かぶ。煙々羅の「儚すぎる」アートな正体

基本情報

名称
煙々羅
読み
えんえんら
分類
妖怪
主な伝承地
日本の妖怪の一種で、煙の妖怪
出現場所
日本の妖怪の一種で、煙の妖怪
特徴
鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』に描かれた妖怪。かまどや焚き火から立ち上る煙の中に、人間の顔(あるいは女性の姿)が浮かび上がったもの。羅(うすもの)のような煙という意味。
主な伝承・資料
鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』、多田克己『百鬼解読』(講談社文庫)

01

煙の中に浮かび上がる不思議な顔

夕暮れ時、野良仕事が終わって焚き火をしていると、立ち上る煙の形がうねうねと変化し、その中にふわりと「人間の顔」が浮かび上がることがあります。

これが「煙々羅(えんえんら)」です。人を襲うこともなく、何かを語りかけてくることもありません。風が吹けば形を崩し、煙とともに儚く空へ消えていく。物理的な実体を全く持たない、非常に特殊で幻想的な妖怪です。

煙の中に浮かび上がる不思議な顔

02

鳥山石燕の「言葉遊び」から生まれた

この煙々羅には、古い民間伝承(怪談)が存在しません。妖怪絵師である鳥山石燕が、完全に自らのイマジネーションだけで創り出したオリジナル妖怪(創作)だと考えられています。

「羅(ら)」とは、薄くて透き通った布(シルクなど)のことです。煙がゆらゆらと立ち上る様子を薄い布に見立て、「煙々羅(えんえんら)」というリズミカルで美しい名前を付けた石燕のネーミングセンスと、ビジュアルの言葉遊びが光る作品です。

鳥山石燕の「言葉遊び」から生まれた

03

現代の「シミュラクラ現象」の先取り

石燕はこの絵の解説に「無我の境地にある者(心に余裕がある者)にしか、この姿は見えない」と記しています。

現代の科学で言えば、雲の形や壁のシミが人間の顔に見える「シミュラクラ現象」のことです。忙しくイライラしている時にはただの煙にしか見えないけれど、心が落ち着いて焚き火を眺めている時だけ、煙の中に顔を見つけることができる。江戸時代の絵師は、人間の心理的な錯覚すらも風流な「妖怪」として楽しんでいたのです。

現代の「シミュラクラ現象」の先取り

SAME CATALOG

同じ図鑑のほかの記事