二本の尾を持つ猫又

ねこまた

猫又

猫又|山の怪物か、年老いた飼い猫か。姿は一つではない

基本情報

名称
nekomata
読み
ねこまた
分類
妖怪
主な伝承地
日本各地
出現場所
山・人里など
特徴
尾が二つに裂ける猫とされる。近世の説話・随筆などで語られ、時代や地域によって描写が異なる
主な伝承・資料
山の怪物? それとも年老いた飼い猫?

01

山の怪物? それとも年老いた飼い猫?

『徒然草』第八十九段には、山には「猫また」というものがいて人を食うという噂が記されています。

ところが同じ段には、年を経た猫が猫またになって人をとることもある、と人里の話まで出てきます。つまり「山の怪物から、後世になって飼い猫の妖怪へ変化した」と単純に一本線で説明することはできません。

かなり早い時期から、山にいる恐ろしい存在と、身近な猫が変化する存在の両方が語られていたのです。

山中の猫又と年老いた飼い猫を対比して描いた場面

02

猫又に襲われた!……と思ったら、犯人は自分の犬

『徒然草』第八十九段では、「何阿弥陀仏とかや」と記される連歌師の僧が、夜道をひとりで歩いていました。

猫またに襲われるという噂を聞いていた僧は、川辺で何かが飛びついてきたため大慌て。「猫まただ」と思い込み、川へ転げ落ちて助けを求めます。

ところが正体は、主人を見つけて喜んで駆け寄ってきた自分の犬でした。怖い噂を知っていたせいで、いつもの犬まで妖怪に見えてしまった。猫又伝承の中でも、妙に人間くさい一幕です。

夜道の川辺で自分の犬に飛びつかれて驚く僧

03

魚と小豆飯、そして赤い手ぬぐいで円満退職?

香川県丸亀地方の伝承として、年老いた猫が猫又になり、尾が二つに分かれ、後足で立って踊るという話が記録されています。

面白いのは、その猫又への対処法です。魚を添えた小豆飯を食べさせ、赤い手ぬぐいを頭にかぶせる。すると猫又は家に害をせず、どこかへ去っていくとされています。

退治するのではなく、食事と手ぬぐいを用意して送り出す。妖怪との別れ方としては、ずいぶん穏やかです。

魚を添えた小豆飯と赤い手ぬぐいを前にした猫又

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