01
顔に目はなく、手のひらで獲物を探す
夜の墓場や野原に、ボロボロの着物を着た座頭(盲目の男)が現れます。しかし彼の顔に目はなく、のっぺらぼうです。
代わりに、彼は両手を前に突き出し、その「手のひら」にパッチリと開いたギョロ目を使って周囲をキョロキョロと探りながら歩いてきます。これが「手の目(てのめ)」です。相手を捕まえようと手を伸ばすアクションが、そのまま「対象を見る(スキャンする)」という動作に直結している、極めて不気味で機能的なデザインの妖怪です。


てのめ
手の目
01
夜の墓場や野原に、ボロボロの着物を着た座頭(盲目の男)が現れます。しかし彼の顔に目はなく、のっぺらぼうです。
代わりに、彼は両手を前に突き出し、その「手のひら」にパッチリと開いたギョロ目を使って周囲をキョロキョロと探りながら歩いてきます。これが「手の目(てのめ)」です。相手を捕まえようと手を伸ばすアクションが、そのまま「対象を見る(スキャンする)」という動作に直結している、極めて不気味で機能的なデザインの妖怪です。

02
なぜ手のひらに目があるのでしょうか。伝承によれば、昔、ある盲目の男が悪党(強盗)に襲われ、お金を奪われた上に殺されてしまいました。
男は死ぬ間際、「目が見えないから犯人の顔がわからない。せめて手のひらにでも目があれば、手探りした相手の顔を見ることができたのに!」と強く念じました。この「犯人を見たい」という強烈な怨念が、死後、妖怪「手の目」となって具現化したのです。そのため、彼は今でも暗闇をさまよい、出会った人間を犯人だと思って襲いかかるとされています。

03
この「手のひらに目がある怪物」という強烈なビジュアルは、日本を飛び出し、世界のポップカルチャーに大きな影響を与えました。
特に有名なのが、ギレルモ・デル・トロ監督のダークファンタジー映画『パンズ・ラビリンス』に登場する恐怖の怪物「ペイルマン」です。監督自身が、日本の妖怪「手の目」の造形からインスピレーションを受けたことを公言しています。江戸時代の絵師のイマジネーションが、現代のハリウッド映画のクリーチャーデザインとして世界中の観客を恐怖させているのです。

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