01
西日本で恐れられた「犬神憑き」
狐憑き(きつねつき)と並んで、西日本で激しく恐れられてきたのが「犬神(いぬがみ)」です。
犬神は持ち主の命令に従って空を飛び、憎い相手に取り憑いて高熱を出させたり、精神を狂わせたりします。また、他人の家の財産を盗んできて持ち主を大金持ちにするため、犬神を使役する家系は「犬神持ち」と呼ばれ、周囲から極端に恐れられ、婚姻を避けられるなどの深刻な村八分(差別)の対象にもなりました。


いぬがみ
犬神
01
狐憑き(きつねつき)と並んで、西日本で激しく恐れられてきたのが「犬神(いぬがみ)」です。
犬神は持ち主の命令に従って空を飛び、憎い相手に取り憑いて高熱を出させたり、精神を狂わせたりします。また、他人の家の財産を盗んできて持ち主を大金持ちにするため、犬神を使役する家系は「犬神持ち」と呼ばれ、周囲から極端に恐れられ、婚姻を避けられるなどの深刻な村八分(差別)の対象にもなりました。

02
この犬神が恐ろしいのは、自然の妖怪ではなく「人間が意図的に作り出す呪具(兵器)」である点です。その製造方法は極めて残酷です。
まず、生きた犬を首だけ出して土に埋め(または縛り付け)、目の前に美味しそうな食べ物を置いてギリギリまで餓死状態にさせます。犬の飢えと恨みが頂点に達した瞬間に、背後から首を切り落とすのです。その首を祀ることで、極限の怨念を込めた「犬神」という強力な呪霊が誕生すると信じられていました。中国の「蠱毒(こどく)」にも通じる黒魔術です。

03
他人の富を奪い、呪殺できる便利な使い魔ですが、代償は強烈でした。
犬神は一度作ると、その家系(主に女性)に代々取り憑き、決して離れることはありません。もし持ち主のコントロールが弱まれば、犬神は逆襲して持ち主自身の家族を食い殺し、精神を狂わせて家を破滅させると言われていました。他者を呪うための憎悪は、最終的に自分自身を滅ぼすという、人間の業の深さを象徴する恐ろしい伝承です。

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