01
顔面真っ白で「酒」を買いに来る
雪がしんしんと降る冬の夜。酒屋の戸を叩く者がいるので開けてみると、そこには顔が真っ白になるほど「白粉(おしろい)」を厚塗りした不気味な老婆が立っています。
片手には杖、もう片手にはお酒を入れる徳利(とっくり)を持ち、さらに首からは古びた「鏡」をぶら下げています。これが「白粉婆(おしろいばばあ)」です。彼女は酒を買う(あるいは恵んでもらう)と、何も言わずに雪の中へ消えていくと言われています。


おしろいばば
白粉婆
01
雪がしんしんと降る冬の夜。酒屋の戸を叩く者がいるので開けてみると、そこには顔が真っ白になるほど「白粉(おしろい)」を厚塗りした不気味な老婆が立っています。
片手には杖、もう片手にはお酒を入れる徳利(とっくり)を持ち、さらに首からは古びた「鏡」をぶら下げています。これが「白粉婆(おしろいばばあ)」です。彼女は酒を買う(あるいは恵んでもらう)と、何も言わずに雪の中へ消えていくと言われています。

02
鳥山石燕の解説によれば、この老婆はただの化け物ではなく、「脂粉仙娘(しふんせんじょう)」という中国の化粧(白粉)の神様に仕える侍女(メイド)であるとされています。
美を司る女神に仕えているため、彼女自身も化粧に強い執着を持っているのですが、老いてシワだらけになった顔を隠すために、不気味なほど大量の白粉を塗りたくっているのだと解釈されています。美しさを保ちたいという人間の普遍的な欲望と、老いという残酷な現実が同居した妖怪です。

03
白粉婆は、人間を食い殺したり、呪いをかけたりするような凶悪な妖怪ではありません。
ただ顔を真っ白にしてお酒を求め、自分の姿を鏡で見つめながら雪の中を歩いているだけです。その姿は「恐ろしい」というよりも、「年老いてもなお美しさを諦めきれない」という人間の業の深さと悲哀を感じさせます。寒い冬の夜、誰もいない道でふとすれ違っても、そっと道を譲ってあげたくなるような、切ない余韻を残す怪異です。

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