べとべとさん

べとべとさん

べとべとさん

べとべとさん|日本一礼儀正しい妖怪? べとべとさんの「お先にどうぞ」

基本情報

名称
べとべとさん
読み
べとべとさん
分類
日本の妖怪
主な伝承地
奈良県や静岡県などに伝わる怪異
出現場所
夜道
特徴
奈良県や静岡県などに伝わる怪異。夜道を歩いていると、背後から「べとべと」と足音がついてくるが、振り向いても誰もいない。道を譲る言葉をかけると足音は消える。
主な伝承・資料
水木しげる『水木しげるの妖怪事典』(東京堂出版)/村上健司『妖怪事典』(毎日新聞社)

01

見えないストーカーの恐怖

暗い夜の田舎道。提灯の明かりを頼りに一人で歩いていると、自分の足音の後ろに重なるように、誰かの足音が聞こえてきます。

「べと、べと、べと……」。立ち止まると足音も止まり、歩き出すとまたついてくる。恐ろしくなって後ろを振り返っても、暗闇の中には誰もいません。姿が見えないまま延々とついてくるこの怪異は「べとべとさん」と呼ばれ、昔の人々を大いに怖がらせました。

見えないストーカーの恐怖

02

撃退法は「道を譲る」こと

この気味の悪いストーカー妖怪から逃れる方法は、走って逃げることでも、お経を唱えることでもありません。

道の端にサッと寄り、後ろに向かってこう言うだけでいいのです。

「べとべとさん、先へお越し(お先にどうぞ)」。

すると足音は、「じゃあお言葉に甘えて」と言わんばかりに、スッと前の方へ通り過ぎていき、そのままどこかへ消えてしまいます。人間に危害を加えるわけではなく、ただ道を急いでいただけの、驚くほど素直で礼儀正しい妖怪なのです。

撃退法は「道を譲る」こと

03

不安が生み出す錯覚と、思いやりの文化

べとべとさんの正体は、暗闇への恐怖が生み出した「音の錯覚」だと言われています。

自分の足音が周囲の壁や木々に反響したものを、誰かがついてくると思い込んでパニックになる。しかし、「お先にどうぞ」と立ち止まって深呼吸し、周囲に気を配ることで、そのパニック(錯覚)はフッと消え去ります。妖怪という形を借りて、夜道のパニックを鎮める知恵と、他者(見えないもの)への気遣いを教える、日本人の優しい精神性が生んだ怪異です。

不安が生み出す錯覚と、思いやりの文化

SAME CATALOG

同じ図鑑のほかの記事