夜の町に現れる顔のないのっぺらぼう

のっぺらぼう

のっぺらぼう

のっぺらぼう|八雲の有名な話、タイトルは「のっぺらぼう」ではなく「むじな」

基本情報

名称
のっぺらぼう(のっぺら坊)
読み
のっぺら坊
分類
妖怪
主な伝承地
夜道・坂道など。伝承によって異なる
出現場所
夜道・坂道など
特徴
目・鼻・口のない顔で人を驚かせる。動物の変化として語られる例もある
主な伝承・資料
八雲の有名な話、タイトルは「のっぺらぼう」ではなく「むじな」

01

八雲の有名な話、タイトルは「のっぺらぼう」ではなく「むじな」

小泉八雲『怪談(Kwaidan)』の「Mujina」は、東京の紀伊国坂を舞台にしています。夜道で商人が泣く女性に声をかけると、その顔には目も鼻も口もありません。

商人は逃げ、蕎麦売りに助けを求めます。ところが蕎麦売りも自分の顔を撫で、同じような何もない顔を見せます。二度続けて「顔が消える」ことで恐怖を重ねる、有名な構成です。

八雲は題を「Mujina」としました。一方、同書の注では、滑らかで完全に特徴のない顔の怪異を「nopperabo」と呼び、日本の怪異譚でよく知られた存在だと説明しています。

夜道で顔のない女性に出会い驚く人物

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「のっぺらぼうは存在しない」とは言い切れない

顔のない怪異が狸や狐などの変化として語られる例があるため、「のっぺらぼうは動物の変装にすぎない」と説明されることがあります。しかし、そこまで一括りにはできません。

八雲自身が『怪談』の注で「nopperabo」を顔のない怪異の呼び名として説明していることからも、少なくとも「のっぺらぼうという妖怪は本来存在しない」と断定するのは強すぎます。

重要なのは、名前・姿・正体を分けて見ることです。「顔がない」という姿は共通していても、その正体や物語上の役割は資料ごとに確認する必要があります。

顔を撫でて目鼻口のない顔を見せる怪異

03

顔なし怪異の後ろに、狸がいることもある

国際日本文化研究センターのデータベースには、長野県の伝承として、竹藪で顔がのっぺらぼうの大入道に出会う話が収録されています。その場所では狸が大入道に化けて人を驚かせると語られていました。

このように、顔のない姿と狸などの動物変化が結びつく事例は確かにあります。ただし、一つの事例から全国ののっぺらぼうすべての正体を狸だと決めることはできません。

「顔がない」という強烈な見た目と、「動物が人を化かす」という別の伝承が重なる。その重なりこそ、のっぺらぼうを単純な一種類の妖怪として説明しにくい理由の一つです。

狸や狐など人を化かすと語られた動物たち

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