01
体のあらゆる「穴」からご馳走を出す
高天原(天界)で大暴れし、追放されてお腹を空かせていたスサノオは、食物の女神である大気都比売神(オオゲツヒメ)のところへ行き、「何か食べさせてくれ」と頼みました。 オオゲツヒメは喜んでご馳走の準備を始めます。しかし、スサノオがこっそり厨房(調理の様子)を覗き見ると、彼女は鼻や口、さらには「尻(肛門)」から、美味しそうな食材をドバドバと取り出し、それを調理して食卓に並べていたのです。


おおげつひめのかみ
大気都比売神
01
高天原(天界)で大暴れし、追放されてお腹を空かせていたスサノオは、食物の女神である大気都比売神(オオゲツヒメ)のところへ行き、「何か食べさせてくれ」と頼みました。 オオゲツヒメは喜んでご馳走の準備を始めます。しかし、スサノオがこっそり厨房(調理の様子)を覗き見ると、彼女は鼻や口、さらには「尻(肛門)」から、美味しそうな食材をドバドバと取り出し、それを調理して食卓に並べていたのです。

02
いくら神様が出した食べ物とはいえ、さすがにその「製造工程」を見たスサノオはドン引きしました。 「お前は、汚いものを私に食わせる気か!」と激怒したスサノオは、剣を抜いてオオゲツヒメを一刀両断に斬り殺してしまいます。(※『日本書紀』では同じようなエピソードで、月読命が保食神を斬り殺しています)。せっかくおもてなしをしたのに、誤解(?)によって殺されてしまうという理不尽すぎる悲劇です。

03
しかし、食物の女神の物語は死んでからが本番です。 殺されたオオゲツヒメの死体を放置しておくと、彼女の「頭」からは蚕(かいこ)、「目」からは稲の種、「耳」からは粟、「鼻」からは小豆、「陰部」からは麦、「尻」からは大豆が次々と生えてきました。これを神産巣日神(カミムスビ)が回収して地上の農業の種としたのです。女神の死(肉体の分解)によって新しい生命(穀物)が生まれるという、農耕民族の死生観を極めてダイナミック(かつ少しグロテスク)に描いた神話です。

SAME CATALOG