01
日本神話では珍しい「絶対的な敵」
キリスト教の悪魔のような「絶対的な悪」が存在しない日本神話において、天津甕星(アマツミカボシ)は非常に珍しい存在です。
国譲りの際、天界の最強武神であるタケミカヅチとフツヌシは、地上の荒ぶる神々や草木に至るまで、ことごとく平定して服従させました。しかし『日本書紀』には、「ただ一柱、星の神であるアマツミカボシだけが最後まで服従しなかった」と記されています。天(太陽や雷)の権威に対して、最後まで輝き(抵抗)を失わなかった孤高の星神です。


あまつみかぼし
天津甕星
01
キリスト教の悪魔のような「絶対的な悪」が存在しない日本神話において、天津甕星(アマツミカボシ)は非常に珍しい存在です。
国譲りの際、天界の最強武神であるタケミカヅチとフツヌシは、地上の荒ぶる神々や草木に至るまで、ことごとく平定して服従させました。しかし『日本書紀』には、「ただ一柱、星の神であるアマツミカボシだけが最後まで服従しなかった」と記されています。天(太陽や雷)の権威に対して、最後まで輝き(抵抗)を失わなかった孤高の星神です。

02
タケミカヅチら強力な剣の神々でも手を焼いたこの反逆の星を、一体誰が倒したのでしょうか。
白羽の矢が立ったのは、建葉槌命(タケハヅチ)という「機織り(布を織る)」の神様でした。タケハヅチが派遣されると、あれほど抵抗していたアマツミカボシはあっけなく服従したとされています。武力ではなく、なぜ織物の神だったのでしょうか。

03
武神が倒せなかった星の神を、機織りの神が倒した理由には、古来から美しい解釈がなされています。
一つは、「機織りの神が『雲』という布を織り上げ、その雲で空を覆い隠すことで、星の光(アマツミカボシの力)を封じ込めた」という自然現象のメタファー(隠喩)です。また、古代において織物は神聖な呪術の道具であり、布の持つ霊的な力で荒ぶる神を鎮めたとも考えられています。ハリウッド映画のような筋肉のぶつかり合いではなく、呪術と詩的な想像力で敵を封じる、日本神話ならではの美しい討伐劇です。

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