01
愛する妻を失った「涙」の神格化
火の神を産んで死んでしまった妻・イザナミの枕元で、イザナギは声を上げて泣き崩れました。その際、彼の目からこぼれ落ちた大粒の涙から生まれたのが泣沢女神(ナキサワメ)です。「悲しみ」という人間の深い感情と、そこから溢れる涙の水分が結びついて神格化された、非常にポエティックな女神です。


なきさわめのかみ
泣沢女神
01
火の神を産んで死んでしまった妻・イザナミの枕元で、イザナギは声を上げて泣き崩れました。その際、彼の目からこぼれ落ちた大粒の涙から生まれたのが泣沢女神(ナキサワメ)です。「悲しみ」という人間の深い感情と、そこから溢れる涙の水分が結びついて神格化された、非常にポエティックな女神です。

02
古代の葬儀には、遺族に代わって大声で泣き叫び、死者の霊を慰めるとともに邪気を祓う「泣き女(なきめ)」という職業(儀礼)がありました。ナキサワメは、この葬送儀礼における泣き女の職能を神格化した存在であるとも民俗学では解釈されています。

03
『古事記』には、彼女が「香久山の畝尾(うねお)の木の下に座す」と記されています。現在でも奈良県の畝尾都多本神社に祀られており、そこには本殿がなく、ご神体として「枯れることのない井戸(泉)」が祀られています。イザナギの涙は、今も尽きることなく大地の泉として湧き出しているのです。

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