01
日本神話の「ビッグバン」と独神(ひとりがみ)
『古事記』のページを開いて、最初に記されている名前が「天之御中主神(アメノミナカヌシ)」です。まだ天と地が分かれたばかりのドロドロとした空間(高天原)に、ポツンと出現しました。
この神の特徴は「独神(ひとりがみ)」であること。イザナギやイザナミのように男女のペアではなく、性別のない単独の神として生まれました。そして、「身を隠した」と書かれています。つまり、登場してすぐに姿を消してしまったのです。


あめのみなかぬしのかみ
天之御中主神
01
『古事記』のページを開いて、最初に記されている名前が「天之御中主神(アメノミナカヌシ)」です。まだ天と地が分かれたばかりのドロドロとした空間(高天原)に、ポツンと出現しました。
この神の特徴は「独神(ひとりがみ)」であること。イザナギやイザナミのように男女のペアではなく、性別のない単独の神として生まれました。そして、「身を隠した」と書かれています。つまり、登場してすぐに姿を消してしまったのです。

02
一番最初に生まれた神でありながら、アメノミナカヌシはその後の神話のストーリーに文字通り「一切」関わりません。
国生みにも、天岩戸の騒動にも、ヤマタノオロチ退治にも登場しません。彼(彼女)は宇宙の中心そのものであり、何か具体的なアクションを起こすようなレベルを超越した、概念的な存在だったからだと考えられています。『日本書紀』の本文にすら登場せず、一部の別伝に名前が載る程度という徹底した「裏方」ぶりです。

03
長らく神話の中で忘れられた存在に近い状態でしたが、江戸時代から明治時代にかけて、アメノミナカヌシは突如として注目を浴びるようになります。
神道論者たちが、「西洋のキリスト教の神(絶対神)に対抗できる、日本の宇宙の最高神はこの神しかいない!」と考えたためです。また、北極星や北斗七星を信仰する「妙見信仰」と結びつき、現代では「宇宙のエネルギーをもらえる神様」として、多くの神社(東京大神宮や水天宮など)で篤く信仰されています。一瞬で消えた原初の神は、数千年の時を超えて現代日本で大復活を遂げたのです。

SAME CATALOG