池上本門寺

いけがみほんもんじ

池上本門寺

Photo: ペン太 / Wikimedia Commons / CC BY 2.5

池上本門寺|日蓮入滅の聖地に加藤清正が築いた「96段の石段」と、空襲を生き延びた五重塔の奇跡

東京都大田区にある池上本門寺(いけがみほんもんじ)は、日蓮宗の十四霊蹟寺院の筆頭であり、宗祖・日蓮聖人が生涯を閉じた(入滅した)神聖な場所として絶大な信仰を集める巨刹です。 広大な境内には、熱心な法華経信者であった戦国武将・加藤清正が寄進したダイナミックな石段や、江戸時代初期に建てられた重要文化財の五重塔など、歴史的建造物が数多く残されています。 この寺院には、日蓮が息を引き取った瞬間に季節外れの桜が咲き誇ったという神秘的な伝承や、東京の大部分が焼き尽くされた第二次世界大戦の空襲において、木造の五重塔だけが炎の中で焼け残ったという現代の奇跡(都市伝説)が息づいています。武将の信仰と不思議な伝説が交差する、東京屈指の宗教空間を紐解きます。

基本情報

名称
長栄山 本門寺(通称:池上本門寺)
読み
ちょうえいざん ほんもんじ(いけがみほんもんじ)
所在地
東京都大田区池上1丁目1-1
創建
弘安5年(1282年)
宗派
日蓮宗(大本山)
本尊
三宝尊
主な見どころ
五重塔(国指定重要文化財)、大堂、此経難持坂
ゆかりの人物
日蓮聖人、池上宗仲、力道山、加藤清正
加藤清正が築いた「96段の石段」に隠された法華経の暗号Photo: Nesnad / Wikimedia Commons / CC BY 4.0

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加藤清正が築いた「96段の石段」に隠された法華経の暗号

池上本門寺の総門をくぐると、目の前に立ちはだかるのが「此経難持坂(しきょうなんじざか)」と呼ばれる急峻な石段です。慶長年間(16世紀末〜17世紀初頭)に、熱烈な日蓮宗の信者であった戦国武将・加藤清正が寄進して築かせたものです。 この石段の段数は、ぴったり「96段」で構成されています。これは偶然ではありません。法華経の中にある「見宝塔品(けんほうとうほん)」の偈文(げぶん=詩句)が96文字で構成されていることに由来しており、参拝者は石段を一段登るごとに、法華経の文字を一つずつ読み上げるのと同じ功徳が得られるように設計されているのです。 朝鮮出兵などで数々の激戦をくぐり抜けた猛将・清正が、自身の財力と土木技術を注ぎ込み、経典の暗号を物理的な石段として具現化したこの坂は、戦国武将の深い信仰心と呪術的なこだわりを今に伝えています。

空襲の炎を耐え抜いた五重塔と「力道山の墓」Photo: Higa4 / Wikimedia Commons / CC0

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空襲の炎を耐え抜いた五重塔と「力道山の墓」

本殿へと進む境内の右手には、慶長13年(1608年)に江戸幕府第二代将軍・徳川秀忠の病気平癒を祈願して建てられた、高さ約30メートルの五重塔(重要文化財)がそびえています。 昭和20年(1945年)の空襲(城南大空襲)により、池上本門寺の大堂をはじめとする境内の伽藍の大部分は焼失してしまいました。しかし、周囲が猛火に包まれる中、この木造の五重塔だけは奇跡的に火の粉を払い落とすかのように焼け残り、現在も江戸時代初期の姿を東京の空に留めています。「日蓮聖人の法力が塔を守った」と語り継がれるこの事実は、現代の東京における一種の都市伝説的な奇跡として人々の畏敬を集めています。 また、本門寺の広大な墓地には、歴史上の人物だけでなく、昭和のプロレスヒーロー・力道山の巨大な墓所があることでも知られており、時代を超えた多様な人々の魂が集まる場所となっています。

日蓮入滅の瞬間に咲いた「お会式桜(おめしきざくら)」の神秘

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日蓮入滅の瞬間に咲いた「お会式桜(おめしきざくら)」の神秘

弘安5年(1282年)10月13日、病に倒れた日蓮は、信者であった池上宗仲(いけがみむねなか)の館(現在の本門寺の地)で、61歳の生涯を閉じました。 寺伝によれば、日蓮が息を引き取ったその瞬間、庭先にあった桜の木が、秋であるにもかかわらず一斉に季節外れの白い花を咲かせたと言われています。この神秘的な現象を語り継ぐため、現在も池上本門寺では毎年10月11日から13日にかけて「お会式(おえしき)」という盛大な法要が行われます。 お会式の夜には、和紙で作られた満開の桜の花で飾られた「万灯(まんどう)」を掲げた数十万人の信者や見物客が全国から集まり、纏(まとい)を振りながら深夜まで練り歩きます。秋の夜に咲き誇る幻の桜の伝説は、700年以上の時を超えて、東京の秋の風物詩となる巨大なエネルギーを生み出し続けているのです。

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