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六重に見えるのに「三重塔」。古代の視覚トリック
薬師寺で唯一、創建当時(奈良時代)から一度も燃えずに残っているのが国宝の「東塔」です。屋根の大小がリズミカルに重なるその美しさから、アメリカの美術史家フェノロサが「凍れる音楽」と称賛したと言われています。この東塔を下から数えてみてください。屋根が6つあるため「六重塔」に見えるはずです。しかし、公式な記録では「三重塔」です。なぜ数が合わないのでしょうか。実は、大きな屋根の下にある小さな屋根は、「裳階(もこし)」と呼ばれる飾り(雨除けのひさし)なのです。1層につき「裳階の小さな屋根」と「本来の大きな屋根」がセットになっているため、3層×2=6つの屋根に見えるというわけです。この大小の屋根が交互に重なる複雑なデザインが、東塔に圧倒的な浮遊感と音楽的なリズムを生み出している、古代の天才的な視覚トリックなのです。

六重に見えるのに「三重塔」。古代の視覚トリック
Photo: LEGACY_REFERENCE: /var/lib/are-iina/unpublished/temples/yakushiji


