成田山新勝寺

なりたさんしんしょうじ

成田山新勝寺

Photo: くろふね / Wikimedia Commons / CC BY 4.0

成田山新勝寺|始まりは「平将門の呪殺」。歌舞伎スターがプロデュースした成田山新勝寺のPR戦略

お正月には300万人以上が訪れる千葉県の成田山新勝寺。その始まりが、関東で反乱を起こした「平将門」を呪い殺す(調伏する)ための軍事的な祈祷だったと知っていますか? さらに、辺境の寺だった成田山を全国区の人気スポットに押し上げたのは、江戸歌舞伎のスーパースター・市川團十郎の「強烈なPR戦略」でした。

基本情報

名称
成田山 新勝寺
読み
なりたさん しんしょうじ
所在地
千葉県成田市成田1
創建
天慶3年(940年)
宗派
真言宗智山派(大本山)
本尊
不動明王
主な見どころ
大本堂、三重塔、平和大塔、御護摩祈祷
ゆかりの人物
寛朝大僧正、平将門、初代市川團十郎
平将門を倒すための「最終兵器」として創建

01

平将門を倒すための「最終兵器」として創建

成田山新勝寺のルーツは、平安時代中期に起きた「平将門の乱」に遡ります。関東で反乱を起こし、自らを「新皇」と名乗った平将門に対し、朝廷は討伐軍を派遣すると同時に、呪術的なアプローチ(祈祷)による鎮圧を命じました。 寛朝(かんちょう)大僧正が、京都の神護寺にあった強力な「不動明王像」を抱えて関東へ下り、成田の地で将門を呪い殺す(調伏する)ための護摩祈祷を行いました。 祈祷の満願の日、将門は戦死して乱は平定されました。 その後、寛朝が都へ帰ろうとすると、不動明王像が石のように重くなって動かなくなり、「この地に留まって人々を救う」と告げたため、そこに寺を建てたのが新勝寺の始まりです。 「新たに(将門に)勝つ」という意味が込められた、極めて政治的かつ呪術的な寺院だったのです。

初代市川團十郎による「芸能人タイアップ広告」Photo: Utagawa Kunisada / Wikimedia Commons / Public domain

02

初代市川團十郎による「芸能人タイアップ広告」

将門の怨念を鎮めるために関東の武士たちからは信仰されましたが、江戸時代前期までの成田山は、知る人ぞ知る地方の寺院に過ぎませんでした。 これを一躍全国区のテーマパークにしたのが、江戸歌舞伎のスーパースター・初代市川團十郎(いちかわだんじゅうろう)です。 子宝に恵まれなかった團十郎が成田山に祈願したところ、無事に跡継ぎ(二代目)が誕生しました。熱烈な信者となった團十郎は、歌舞伎の舞台で不動明王をテーマにした演目を上演し、大ヒットさせました。 さらに彼が舞台上で見せる「にらみ」は不動明王の眼力を模したものだと宣言したのです。 トップアイドルが「成田山のお不動様はすごいぞ!」と舞台で宣伝(タイアップ広告)したことで、江戸の町民たちは熱狂。「成田詣(なりたもうで)」というパッケージ旅行が大流行し、成田山は一気にメガテンプルへと成長しました。

1000年以上燃え続ける「御護摩の炎」

03

1000年以上燃え続ける「御護摩の炎」

成田山の最大のハイライトは、大本堂で毎日行われている「御護摩(おごま)祈祷」です。 僧侶が薪をくべ、高く燃え上がる炎の中に供物や人々の願いが書かれた護摩木を投じ、不動明王に祈りを捧げる儀式です。 実はこの御護摩の火、天慶3年(940年)の開山以来、1000年以上にわたって「一日も欠かさず」に絶えず燃やされ続けているとされています。 平将門を調伏した怒りの炎は、時代を経て人々の煩悩を焼き尽くし、願いを叶える慈悲の炎へと意味を変えながら、現代の成田国際空港の近くで今も燃え盛っているのです。

SAME CATALOG

同じ図鑑のほかの記事

高台寺
こうだいじ(こうだいじゅしょうぜんじ)

高台寺

北政所(ねね)が豊臣秀吉の菩提を弔うために創建(京都府)

総見院
そうけんいん

総見院

本能寺の変後、秀吉が信長の巨大な葬儀を行った舞台(京都府)

崇福寺(岐阜市)
そうふくじ

崇福寺(岐阜市)

信長と信忠の遺品が岐阜城から移された織田家の菩提寺(岐阜県)

恵林寺
えりんじ

恵林寺

夢窓疎石の庭園と武田信玄の菩提寺(山梨県)

林泉寺
りんせんじ

林泉寺

上杉謙信が幼少期7年間を過ごした上杉氏の菩提寺(新潟県)

本妙寺
ほんみょうじ

本妙寺

熊本城と同じ高さに築かれた加藤清正の菩提寺(熊本県)

宝円寺
ほうえんじ

宝円寺

加賀藩祖・前田利家が創建した前田家の菩提寺(石川県)

崇福寺(福岡市)
そうふくじ

崇福寺(福岡市)

黒田官兵衛と長政が深く帰依した黒田家の菩提寺(福岡県)

常在寺
じょうざいじ

常在寺

美濃・斎藤道三が美濃国盗りの拠点とした菩提寺(岐阜県)

室生寺
むろうじ

室生寺

「女人高野」と呼ばれる山寺。小さな国宝五重塔が美しい。(奈良県)

飛鳥寺
あすかでら / 正式名称:安居院

飛鳥寺

日本最古級の寺院。飛鳥大仏が古代の面影を伝える。(奈良県)

華頂山 知恩教院 尊蓮社(通称:知恩院)
かちょうざん ちおんきょういん そんれんしゃ(ちおんいん)

華頂山 知恩教院 尊蓮社(通称:知恩院)

浄土宗総本山。巨大な三門と御影堂がそびえる。(京都府)

東本願寺
ひがしほんがんじ

東本願寺

巨大な御影堂を持つ真宗大谷派の本山。度重なる焼失から再建。(京都府)

法隆寺(斑鳩寺)
ほうりゅうじ(いかるがでら)

法隆寺(斑鳩寺)

世界遺産。国宝。聖徳太子が建立。五重塔と金堂が飛鳥建築を伝える(奈良県)

川崎大師 平間寺
かわさきだいし へいけんじ

川崎大師 平間寺

厄除けで知られる川崎大師。海から現れた本尊の伝承。(神奈川県)

音羽山 清水寺
おとわさん きよみずでら

音羽山 清水寺

世界遺産。国宝。断崖に張り出す「清水の舞台」が有名。(京都府)

興福寺
こうふくじ

興福寺

世界遺産。国宝の阿修羅像と五重塔で知られる藤原氏ゆかりの寺。(奈良県)

高野山 真言宗総本山 金剛峯寺
こうやさん しんごんしゅうそうほんざん こんごうぶじ

高野山 真言宗総本山 金剛峯寺

世界遺産・高野山。真言宗の総本山に残る壮大な襖絵。(和歌山県)

瑞龍山 太平興国南禅禅寺
ずいりゅうざん たいへいこうこくなんぜんぜんじ

瑞龍山 太平興国南禅禅寺

京都五山の上に列する禅寺。境内を横切る赤煉瓦の水路閣。(京都府)

六波羅蜜寺
ろくはらみつじ

六波羅蜜寺

口から六体の仏が現れる空也上人像で知られる京都の寺。(京都府)

龍安寺
りょうあんじ

龍安寺

世界遺産。白砂に15の石を並べた石庭で有名。(京都府)

蓮華王院 本堂(通称:三十三間堂)
れんげおういん ほんどう(さんじゅうさんげんどう)

蓮華王院 本堂(通称:三十三間堂)

国宝の本堂に千一体の千手観音像が並ぶ圧巻の光景。(京都府)

泉涌寺
せんにゅうじ

泉涌寺

皇室と縁の深い「御寺」。静かな山内に伽藍が並ぶ。(京都府)

金龍山 浅草寺
きんりゅうざん せんそうじ

金龍山 浅草寺

雷門と大きな提灯で知られる、東京の名所。(東京都)

天龍寺
てんりゅうじ

天龍寺

世界遺産。足利尊氏が後醍醐天皇を弔うため創建した禅寺。(京都府)

東大寺
とうだいじ

東大寺

世界遺産。国宝の大仏殿に奈良の大仏を安置する。(奈良県)

薬師寺
やくしじ

薬師寺

世界遺産。国宝東塔は三重なのに六重に見える。(奈良県)

瑞巌寺
ずいがんじ

瑞巌寺

国宝の本堂。伊達政宗が造営した豪華な桃山建築。(宮城県)

本能寺
ほんのうじ

本能寺

信長最期の地として知られる寺。現在の伽藍は移転後のもの。(京都府)

平等院
びょうどういん

平等院

世界遺産。10円硬貨でおなじみの鳳凰堂が美しい。(京都府)

曹洞宗大本山永平寺
えいへいじ

曹洞宗大本山永平寺

道元が開いた曹洞宗の大本山。今も修行が続く禅の道場。(福井県)

円覚寺
えんがくじ

円覚寺

元寇の戦没者を弔うため、北条時宗が創建した禅寺。(神奈川県)

銀閣寺
ぎんかくじ

銀閣寺

世界遺産。足利義政が築いた、銀色ではない銀閣。(京都府)

長谷寺
はせでら

長谷寺

大きな十一面観音で知られる花の御寺。長い登廊も見どころ。(奈良県)

比叡山延暦寺
ひえいざんえんりゃくじ

比叡山延暦寺

世界遺産。数々の名僧を育てた日本仏教の重要拠点。(滋賀県)

建長寺
けんちょうじ

建長寺

鎌倉五山第一位の禅寺。大きな三門と禅の伝統が残る。(神奈川県)

仁和寺
にんなじ

仁和寺

世界遺産。遅咲きの御室桜と国宝金堂で知られる門跡寺院。(京都府)

三井寺
おんじょうじ

三井寺

多くの映画のロケ地に。弁慶の引きずり鐘が有名。(滋賀県)

三千院
さんぜにん

三千院

京都・大原の門跡寺院。苔庭とわらべ地蔵で親しまれる(京都府)

唐招提寺
とうしょうだいじ

唐招提寺

世界遺産。鑑真が開いた寺に国宝の金堂と講堂が残る。(奈良県)

善光寺
ぜんこうじ

善光寺

「牛に引かれて」の伝説で知られる、長野の古寺。(長野県)

増上寺
ぞうじょうじ

増上寺

徳川将軍家の菩提寺。東京タワーを背に大殿がそびえる。(東京都)