01
史実の記録:突然の「巫蠱(ふこ)」の疑い
井上内親王(いのえないしんのう)は、聖武天皇の血を引く非常に身分の高い皇族でした。彼女の夫である光仁天皇が即位すると皇后となり、息子の他戸親王(おさべしんのう)も皇太子に立てられます。
しかし772年、突然彼女に恐ろしい嫌疑がかけられます。夫である天皇を呪い殺そうと、呪術(巫蠱:人形に針を刺したり毒を使ったりする黒魔術)を行ったというのです。真相は闇の中ですが、歴史学的には、藤原氏などの有力貴族が自分たちに都合の良い別の皇子(のちの桓武天皇)を即位させるための「でっち上げ(陰謀)」であったとする説が有力です。



