平家の怨霊

へいけのおんりょう

平家の怨霊

平家の怨霊|耳を奪う執念。耳なし芳一を襲った「平家一門の怨霊」

基本情報

名前
平家の怨霊
読み
へいけのおんりょう
生きた時代
平安時代末期を背景とする伝承
生前の立場
源平合戦の最終決戦「壇ノ浦の戦い」で滅亡した平家一門の怨念。
主な伝承地・ゆかりの地
山口県下関市・赤間神宮周辺
死・怨霊化の経緯
源平合戦の最終決戦「壇ノ浦の戦い」で滅亡した平家一門の怨念。
祟り・伝承
この恐ろしくも悲しい怪談は、平家滅亡という史実がベースになっています。
区分
怨霊伝説・歴史伝承

01

阿弥陀寺の夜の「シークレットライブ」

盲目の琵琶法師・芳一は、平家物語を弾き語る天才でした。ある夜、身分の高そうな武士が現れ、「我が主君があなたの琵琶を聴きたがっている」と彼を連れ出します。

案内された豪華な屋敷で、芳一が壇ノ浦の戦いのくだりを弾き語ると、周囲の貴人たちは一斉に声を上げて悲しみに泣き崩れました。しかし、芳一が連日通っていたその場所は、豪華な屋敷などではなく、平家一門の墓地(阿弥陀寺の墓前)だったのです。芳一は、壇ノ浦で死んだ平家の怨霊たちに呼ばれて演奏していたのでした。

阿弥陀寺の夜の「シークレットライブ」

02

般若心経のバリアと「忘れられた耳」

このままでは芳一が怨霊に殺されてしまう(海へ引きずり込まれる)と気づいた和尚は、芳一の全身に「般若心経」の経文を書き写し、怨霊から姿が見えないようにする結界を張りました。

夜になり、芳一を迎えに来た怨霊の武者ですが、経文の力で芳一の姿が見えません。しかし、和尚が「両耳」にだけ経文を書き忘れていたため、怨霊からは空中に耳だけが浮かんでいるように見えました。「返事がないから、せめて耳だけでも主君へ持ち帰ろう」と、怨霊は芳一の耳をブチッと引きちぎって持ち去ってしまいました。

般若心経のバリアと「忘れられた耳」

03

史実のトラウマから生まれた伝説

この恐ろしくも悲しい怪談は、平家滅亡という史実がベースになっています。

壇ノ浦で幼い安徳天皇や一族が次々と海へ沈んでいった悲劇は、当時の人々に強烈なトラウマを植え付けました。海峡の急流や海難事故はすべて「平家の怨霊の仕業だ」と恐れられ、彼らを慰めるために琵琶法師たちが『平家物語』を語り継いだのです。怨霊たちが芳一の琵琶を聴いて泣いたというのは、「自分たちの無念を誰かに分かってほしい」という、歴史の敗者たちの切実な願いの表れでもあります。

史実のトラウマから生まれた伝説

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