小幡小平次

こばたこへいじ

小幡小平次

小幡小平次|怨念で相手を呪い殺すのではなく、ただ蚊帳の隙間から「じーっと見つめてくる」。じわじわと精神をすり減らす、陰湿で生々しい江戸のモダンホラー。

基本情報

名前
小幡小平次
読み
こばたこへいじ
生きた時代
伝説上の人物
生前の立場
江戸時代後期
主な伝承地・ゆかりの地
歌舞伎役者とされる怪談上の人物
死・怨霊化の経緯
江戸、安積沼
祟り・伝承
妻の密通相手に殺され、蚊帳から覗く幽霊伝承
区分
お塚、安達朔郎、山東京伝

01

伝承:売れない「幽霊役者」の悲哀

小幡小平次(こばたこへいじ)は、歌舞伎の舞台で「幽霊」の役ばかりをやらされている、冴えない三流役者でした。

彼には美しい妻・お塚がいましたが、彼女は小平次の同僚であるイケメン役者(または太鼓叩き)の安達朔郎と不倫関係にありました。邪魔になった小平次は、朔郎に誘われて釣りに出かけた際、底なし沼に突き落とされて無惨に殺されてしまいます。

伝承:売れない「幽霊役者」の悲哀

02

蚊帳をめくって「ただ見つめてくる」恐怖

小平次を殺して結ばれたお塚と朔郎ですが、二人の夜の寝床(蚊帳の中)に、死んだはずの小平次が現れるようになります。

小平次の幽霊の最大の特徴は、雷と共に派手に現れて相手を殺すような古典的な怨霊ではないことです。彼は夜な夜な、蚊帳の隙間から「恨めしそうな顔で、ただじーっと覗き込んでくる」のです。生前と同じように幽霊役のプロとして、ひたすら二人の精神を不気味にすり減らしていくという、極めて陰湿で現代的なサイコホラーの演出が取られています。

蚊帳をめくって「ただ見つめてくる」恐怖

03

山東京伝と歌舞伎が生んだ大ヒットキャラクター

この「生きているかのように生々しい幽霊」である小幡小平次は、江戸時代の天才クリエイターである山東京伝の小説(読本)によって世に広まりました。

さらに鶴屋南北がこれを歌舞伎の脚本にし、浮世絵師の葛飾北斎らが「蚊帳を覗き込む不気味な小平次の幽霊」の絵を描いたことで、強烈なビジュアルイメージとして江戸の庶民に定着しました。悲惨な殺人事件も、見せ方次第で極上のエンターテインメントになるという好例です。

山東京伝と歌舞伎が生んだ大ヒットキャラクター

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