01
夜な夜な「一文銭」で飴を買う女
雨の降る深夜、ある飴屋(あめや)の店先に、青白い顔をして髪を振り乱した若い女が「飴を一つ売ってください」とやって来ます。
女は一文銭(昔のお金)を置いて飴を買い、そのまま暗闇へ消えていきます。これが何日も続いたある夜、女が差し出したお金が「シキミの葉っぱ(お墓に供える葉)」に変わっていました。不審に思った飴屋の主人が女の後をこっそりつけると、女は町外れの「墓場」へと消えていきました。


こそだてゆうれい(あめかいゆうれい)
子育て幽霊(飴買い幽霊)
01
雨の降る深夜、ある飴屋(あめや)の店先に、青白い顔をして髪を振り乱した若い女が「飴を一つ売ってください」とやって来ます。
女は一文銭(昔のお金)を置いて飴を買い、そのまま暗闇へ消えていきます。これが何日も続いたある夜、女が差し出したお金が「シキミの葉っぱ(お墓に供える葉)」に変わっていました。不審に思った飴屋の主人が女の後をこっそりつけると、女は町外れの「墓場」へと消えていきました。

02
驚いた主人がお寺の和尚さんと一緒にお墓を掘り起こしてみると、そこには先日亡くなって埋葬されたばかりの女性の遺体がありました。
そして驚くべきことに、その遺体の隣で、丸々とした「生きた赤ん坊」が、女が買った飴を舐めて泣いていたのです。妊娠したまま亡くなった母親が、土の中で出産し、子供を餓死させないために、棺桶に入れられた「三途の川の渡し賃(六文銭)」を使って、幽霊となって飴を買いに行っていたのです。

03
三途の川の交通費を我が子の食費に回すという、リアルな経済観念と執念の母性愛。この伝説の結末は、多くの場合ハッピーエンド(?)で終わります。
和尚さんに助け出された赤ん坊は、母親の深い愛情に守られてすくすくと育ち、のちにお寺に入って立派な「高僧」になったと語り継がれます。幽霊=恐ろしいもの、という常識を覆し、「母の愛は死んでも消えない」という感動的なメッセージを伝える、日本の怪談の中でも最も美しい物語の一つです。

SAME CATALOG