01
伝承の始まり:嘘をついて逃げた僧侶
『大日本国法華経験記』などの古い仏教説話に記された物語です。
熊野詣の途中で宿を借りた美形の修行僧・安珍に、宿の娘である清姫が一目惚れし、夜這いをかけます。困った安珍は「熊野の参拝が終わったら必ず戻ってきます」と嘘の約束をして逃げ出してしまいました。彼が別のルートで逃げたことを知った清姫は、怒り狂って裸足で安珍を追いかけます。


きよひめ
清姫
01
『大日本国法華経験記』などの古い仏教説話に記された物語です。
熊野詣の途中で宿を借りた美形の修行僧・安珍に、宿の娘である清姫が一目惚れし、夜這いをかけます。困った安珍は「熊野の参拝が終わったら必ず戻ってきます」と嘘の約束をして逃げ出してしまいました。彼が別のルートで逃げたことを知った清姫は、怒り狂って裸足で安珍を追いかけます。

02
安珍に追いついた清姫ですが、安珍は「人違いです」としらばっくれます。この決定的な裏切りにより、清姫の怒りは人間としての限界を突破しました。
川を渡って逃げる安珍を追いかけるうち、清姫の身体はみるみるうちに巨大な「大蛇(あるいは龍)」へと変貌してしまいます。愛と憎悪が極限まで達した時、日本の怪異は幽霊(霊体)ではなく、物理的なモンスターへと変身してしまうのです。

03
逃げ場を失った安珍は、道成寺(和歌山県)へ逃げ込み、僧侶たちに頼んで巨大な釣り鐘を下ろしてもらい、その中に隠れました。
しかし、大蛇となった清姫は鐘に巻きつくと、口から凄まじい炎を噴き出し、鐘をガンガンと叩きながら灼熱の炎で鐘ごと安珍を焼き殺してしまいました。中からは黒焦げになった安珍の骨だけが見つかったと伝わります。愛欲の執着の恐ろしさを説く仏教の説話ですが、圧倒的なビジュアルのインパクトから、後世の歌舞伎や能(娘道成寺)の大人気演目となりました。

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