お菊

おきく

お菊

お菊|家宝の皿を割った罪で井戸に投げ込まれた悲劇のヒロイン。しかし彼女の怪談は、江戸のベストセラーとして消費され、日本各地に「お菊の井戸」を乱立させた。

基本情報

名前
お菊
読み
おきく
生きた時代
生年不詳〜没年不詳
生前の立場
室町時代〜江戸時代の怪談伝承
主な伝承地・ゆかりの地
皿屋敷の主人公、伝説上の女性
死・怨霊化の経緯
番町、姫路、皿屋敷の井戸
祟り・伝承
皿をめぐる殺害、井戸から皿を数える怪談
区分
青山主膳、播州皿屋敷の人物

01

伝承:番町皿屋敷と播州皿屋敷

お菊の怪談には、大きく分けて二つの有名なバージョンがあります。

一つは江戸(東京)を舞台にした『番町皿屋敷』。旗本の青山主膳の屋敷で、お菊が家宝の皿を割ってしまい、激怒した主人に手打ちにされて井戸に捨てられる物語です。もう一つは兵庫県姫路市を舞台にした『播州皿屋敷』で、こちらはお家騒動の陰謀に巻き込まれたお菊が、皿を隠された濡れ衣を着せられて殺されるという、よりドラマチックな構成になっています。

伝承:番町皿屋敷と播州皿屋敷

02

史実とフィクションの融合

お菊の怪談は実話なのでしょうか。実は室町時代から江戸時代にかけて、主人が下女を惨殺して井戸に捨てるというような事件は実際にいくつも記録されています。

そうした「実際にあった残酷な事件」の断片が、講談師や歌舞伎の脚本家たちによって面白おかしく脚色され、「皿を数える幽霊」というキャッチーなホラーアイコンへと成長していきました。お菊さんは一人の実在の人物ではなく、身分制度の中で理不尽に殺された多くの女性たちの悲念が集合して生まれたキャラクターなのです。

史実とフィクションの融合

03

「お菊の虫」という珍妙なブーム

江戸時代後期には、お菊の怪談があまりにも有名になりすぎた結果、奇妙なブームまで起きました。

サナギが後ろ手に縛られた女性の姿に見える「ジャコウアゲハの蛹」が、「お菊の怨念が虫に生まれ変わったものだ!」と噂され、「お菊虫」として見世物小屋で大流行したのです。幽霊がエンタメとして消費され、ついにはキャラクターグッズ(見世物)にまでなってしまうという、江戸の大衆文化のたくましさと残酷さを示すエピソードです。

「お菊の虫」という珍妙なブーム

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