01
天徳内裏歌合の「歴史的バトル」
960年、村上天皇の前で日本最強の歌人たちが和歌の出来栄えを競い合う「天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ)」が開催されました。その最終戦「恋」のテーマで激突したのが、壬生忠見(みぶのただみ)と平兼盛(たいらのかねもり)です。忠見は「恋すてふ(恋をしているという私の噂がもう立ってしまった)」という最高傑作を披露しました。


みぶのただみ
壬生忠見
01
960年、村上天皇の前で日本最強の歌人たちが和歌の出来栄えを競い合う「天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ)」が開催されました。その最終戦「恋」のテーマで激突したのが、壬生忠見(みぶのただみ)と平兼盛(たいらのかねもり)です。忠見は「恋すてふ(恋をしているという私の噂がもう立ってしまった)」という最高傑作を披露しました。

02
しかし、ライバルの兼盛が詠んだ「しのぶれど(隠していたのに顔に出てしまった)」という歌のあまりの美しさに、審査員も天皇も判定に悩み、最終的に天皇が兼盛の歌を口ずさんだことで、忠見は僅差で敗北してしまいます。
伝説によれば、自分の絶対の自信作が負けたショックで忠見のメンタルは完全に崩壊し、そのままご飯が一切喉を通らなくなり、「餓死」してしまったと言われています。

03
餓死して果てた忠見ですが、彼の「歌への執念」は消えませんでした。死後、彼の怨霊が夜な夜な内裏(宮中)に現れ、「恋すてふ……」と自分の負けた歌をブツブツと未練がましく呟きながら彷徨い歩いたという怪談が語り継がれました(※実際には忠見はその後も生きていたことが記録されており、この餓死伝説は後世の創作です)。しかし、この伝説は「芸術家がいかに自分の作品に命を懸けているか」を示す究極のエピソードとして、百人一首ファンに愛されています。

SAME CATALOG