日光東照宮

にっこうとうしょうぐう

日光東照宮

Photo: くろふね / Wikimedia Commons / CC BY 4.0

日光東照宮|あえて「未完成」で建てられた陽明門。徳川家康を宇宙の神にする権威と信仰を表現する巨大な空間

基本情報

名称
日光東照宮
読み
にっこうとうしょうぐう
所在地
栃木県日光市山内2301
創建・鎮座
元和3年(1617年)
御祭神
東照大権現(徳川家康公のご祭神)
位置づけ
神道の神社
主な見どころ
陽明門、三猿、眠り猫、奥宮
主な祭事・信仰
地域に伝わる祭事と信仰。徳川家康、徳川家光、天海

01

完璧を恐れた「魔除けの逆柱」

日光東照宮の最高傑作といえば、500以上の精巧な彫刻が施された「陽明門」です。一日中見ていても飽きないことから「日暮し門」とも呼ばれます。

しかし、この完璧な美を誇る門には、意図的に仕掛けられた「欠陥」があります。門を支える12本の柱のうち、奥の1本だけ彫刻の模様が「逆さま」になっているのです。職人が間違えたのではありません。「魔除けの逆柱」と呼ばれる意図的な設計です。

当時の思想では、「建物は完成した瞬間から崩壊(劣化)が始まる」と信じられていました。完璧であることは終わりを意味するため、あえて1か所だけ未完成(逆さま)の状態に留めておくことで、「この建物はまだ完成していない。だから崩壊しない」という魔除けの呪い(まじない)をかけたのです。幕府の永遠の繁栄を願う、執念のトリックです。

完璧を恐れた「魔除けの逆柱」
完璧を恐れた「魔除けの逆柱」

Photo: No machine-readable author provided. Fg2 assumed (based on copyright claims). / Wikimedia Commons / Public domain

02

家康を「北極星」と重ね合わせた宇宙の配置

東照宮の配置を俯瞰して見ると、恐るべき設計図が浮かび上がります。

陽明門の真上に「北極星」が輝くように計算して建てられているのです。北極星は夜空の中で唯一動かない星であり、古代中国の思想では「宇宙の最高神」を意味します。家光の側近であった天才僧侶・天海は、江戸(東京)の真北に位置する日光に家康を祀り、本殿と陽明門と北極星を一直線に結びました。

つまり、家康(東照大権現)を北極星と完全に同一視させ、「不動の宇宙神として、江戸から日本全体を永遠に支配し続ける」という超ド級のスケールの結界を張ったのです。

家康を「北極星」と重ね合わせた宇宙の配置
家康を「北極星」と重ね合わせた宇宙の配置

Generated illustration/photo: are-iina

03

「見ざる・言わざる・聞かざる」は子育ての教訓

東照宮で最も有名な彫刻といえば、神厩舎(しんきゅうしゃ=馬小屋)に彫られた「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿です。

多くの人がこの3匹だけを見て帰ってしまいますが、実は猿の彫刻は全部で8枚のパネルに分かれており、猿の一生を描いたストーリーになっています。

「三猿」は、子猿の時期を描いた2枚目のパネルです。「子供のうちは、世の中の悪いことを見たり、聞いたり、言ったりせず、純真に育ってほしい」という親(あるいは家康)の願いが込められています。その後、パネルを進むにつれて、猿は挫折し、恋をし、結婚し、やがて親となって再び1枚目に戻るという、人間の生涯と平和な社会のあり方を説いた壮大な道徳劇になっているのです。

「見ざる・言わざる・聞かざる」は子育ての教訓
「見ざる・言わざる・聞かざる」は子育ての教訓

Photo: Ray in Manila / Wikimedia Commons / CC BY 2.0

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