吉備津神社

きびつじんじゃ

吉備津神社

Photo: Kibitsu_Jinja_10.JPG : Reggaeman derivative work: Urashimataro ( talk ) / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

吉備津神社|桃太郎が退治した「鬼」が吉凶を占う? 吉備津神社に響き渡る不気味な釜の音

基本情報

名称
吉備津神社
読み
きびつじんじゃ
所在地
岡山県岡山市北区吉備津931
創建・鎮座
仁徳天皇の御代(伝承)
御祭神
大吉備津彦大神
位置づけ
神道の神社
主な見どころ
本殿(国宝)、約400メートルの回廊、御竈殿
主な祭事・信仰
地域に伝わる祭事と信仰。大吉備津彦大神、温羅(うら)

01

「めでたし」では終わらない桃太郎伝説のその後

桃太郎のモデルとされるのは、ご祭神である「大吉備津彦大神(おおきびつひこのおおかみ)」です。古代、大和朝廷から派遣された彼は、吉備国(現在の岡山県)で悪逆非道を尽くしていた「温羅(うら)」という鬼を退治しました。これが桃太郎の鬼退治の原型です。

神話によれば、大吉備津彦大神は温羅の首を刎ねて串刺しにしました。しかし、温羅の首は死んでもなお目を見開き、数年間も大声で唸り続けたといいます。困り果てた大神が犬に首を食わせて頭蓋骨だけにしても、唸り声は止まらず、ついには神社の釜殿の地下深くに埋めて封印しました。それでも13年間、地下から鬼の唸り声が鳴り響いたと伝えられています。

「めでたし」では終わらない桃太郎伝説のその後
「めでたし」では終わらない桃太郎伝説のその後

Generated illustration/photo: are-iina

02

敵の怨念を「占いシステム」に変換する鳴釜神事

ある夜、大神の夢に温羅が現れ、こう告げました。「私の妻に、釜で神饌(神への供え物)を炊かせよ。そうすれば私はあなたの使いとなり、吉凶を占ってやろう」。

これに従って始まったのが、現在も吉備津神社の御竈殿(おかまでん)で毎日行われている「鳴釜神事(なるかましんじ)」です。神官がお祓いをし、阿曽女(あぞめ)と呼ばれる巫女が火を焚いて釜の上に蒸籠(せいろ)を置くと、釜から「ボォーッ」という獣の唸り声のような不気味な音が鳴り響きます。

この音が大きく豊かに響けば「吉(願いが叶う)」、音が弱かったり鳴らなかったりすれば「凶」とされます。神社の見解として吉凶の解釈は参拝者自身の心に委ねられていますが、かつて激しく戦った「敵の怨念」を完全に消し去るのではなく、神社の「占いシステムの一部」として取り込んでしまうという、古代の極めてしたたかな宗教的融和の姿が見て取れます。

敵の怨念を「占いシステム」に変換する鳴釜神事
敵の怨念を「占いシステム」に変換する鳴釜神事

Generated illustration/photo: are-iina

03

地形に沿ってうねる400メートルの大回廊

吉備津神社のもう一つの圧倒的な見どころが、本殿から御竈殿へと続く全長398メートルの「回廊」です。

戦国時代(1573年)に再建されたこの回廊は、平坦な道ではなく、山の自然な傾斜に沿って一直線に下っていくように建てられています。外から見ると、まるで巨大な龍が斜面を這い下りているかのようなダイナミックな造形美を誇ります。

美しく長い回廊を歩き、その終点にある薄暗い御竈殿で、地下に眠る鬼の叫び声に耳を澄ます。吉備津神社は、神話と現実が交錯する極上のダークファンタジー空間なのです。

地形に沿ってうねる400メートルの大回廊
地形に沿ってうねる400メートルの大回廊

Photo: hiyang.on.flickr / Wikimedia Commons / CC BY 2.0

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