厳島神社

いつくしまじんじゃ

厳島神社

Photo: Jakub Hałun / Wikimedia Commons / CC BY 4.0

厳島神社|島全体が「神」だから土を掘れない。海上に浮かぶ厳島神社の驚異の建築トリック

基本情報

名称
厳島神社
読み
いつくしまじんじゃ
所在地
広島県廿日市市宮島町1-1
創建・鎮座
推古天皇元年(593年)伝承
御祭神
宗像三女神(市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命)
位置づけ
神道の神社
主な見どころ
大鳥居、客神社、平舞台、高舞台
主な祭事・信仰
地域に伝わる祭事と信仰。平清盛、毛利元就

01

わざわざ海に建てた「信仰上の理由」

海の上に社殿がある理由は、「その方が美しいから」ではありません。宮島(厳島)という島そのものが、古くから神として崇められていたからです。

島全体が「ご神体」であるため、人間の都合で勝手に木を伐採したり、土を削ったり、建物の基礎を打ち込むことは神を傷つけるタブーとされました。そこで、神聖な陸地を避けて「潮の満ち引きがある波打ち際」という境界線ギリギリの海上に社殿を建てるしかなかったのです。海上に浮かぶ美しい回廊は、神聖な島を傷つけまいとする人々の極端な畏れが生み出した造形でした。

わざわざ海に建てた「信仰上の理由」
わざわざ海に建てた「信仰上の理由」

Photo: tina_kazusa / Wikimedia Commons / CC BY 3.0

02

大鳥居は「置いてあるだけ」で倒れない

厳島神社のシンボルである高さ約16メートルの大鳥居。海中深くに柱が突き刺さっているように見えますが、実は海底に埋まっていません。自分の重さ(自重)だけで海の上にポンと「置かれているだけ」なのです。

なぜ倒れないのでしょうか。鳥居の上の部分(島木と呼ばれる横柱)は中が空洞になっており、そこに約7トンもの「玉石」が敷き詰められています。この石の重みで重心を下げ、6本の足(主柱と袖柱)でバランスをとることで、台風や激しい波が来ても決して倒れない絶妙な安定感を保っています。地盤が柔らかい海底に杭を打つよりも、自重でバランスをとる方が波の力を逃がせるという、古代の天才的な力学の応用です。

大鳥居は「置いてあるだけ」で倒れない
大鳥居は「置いてあるだけ」で倒れない

Photo: Saigen Jiro / Wikimedia Commons / Public domain

03

波の威力を逃がす「床の隙間」

海の上に建つ社殿にとって最大の敵は、台風などによる高潮です。床下まで波が押し寄せたとき、普通の建物なら波の圧力で床板が吹き飛ばされてしまいます。

厳島神社の回廊の床板をよく見てみると、板と板の間に絶妙な「隙間」が空けられています。さらに、床板は釘で固定されていません。波が床下から突き上げてきたとき、この隙間から波の圧力(水と空気)を上に逃がすことで、建物全体が崩壊するのを防ぐ「免震構造」になっているのです。

建物を自然からガチガチに守り抜くのではなく、「波が来るなら、波の力をスッと逃がしてやり過ごす」という柔らかい発想。厳島神社は、自然の猛威に逆らわず、自然と共に生きる日本人の精神性がそのまま形になった奇跡の建築なのです。

波の威力を逃がす「床の隙間」
波の威力を逃がす「床の隙間」

Photo: Immanuelle / Wikimedia Commons / CC BY 4.0

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