明治神宮

めいじじんぐう

明治神宮

Photo: Mamusi Taka / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

明治神宮|奇跡の「人工林」。明治神宮の森は、100年後の未来を計算し尽くした科学の結晶だった

基本情報

名称
明治神宮
読み
めいじじんぐう
所在地
東京都渋谷区代々木神園町1-1
創建・鎮座
大正9年(1920年)
御祭神
明治天皇、昭憲皇太后
位置づけ
神道の神社
主な見どころ
本殿、広大な神宮の森、清正井
主な祭事・信仰
地域に伝わる祭事と信仰。明治天皇、本多静六、渋沢栄一

01

荒れ地だった代々木。大論争を呼んだ「木の種類」

大正元年(1912年)に明治天皇が崩御された後、天皇を祀る神社の造営が決定しました。場所は代々木の御料地。しかし当時のそこは、木がまばらに生えるだけの荒れ地や畑でした。

神社を包む「永遠の森」を作るため、林学博士の本多静六(ほんだせいろく)らが中心となってプロジェクトが始動します。ここで大論争が起きました。当時の首相・大隈重信は「神社の森といえばスギだろう! スギを植えろ」と主張しました。

しかし本多たちは猛反対します。「東京の土壌と気候ではスギは育ちません。関東の風土に合い、永遠に続く森を作るには、カシ、シイ、クスノキなどの『常緑広葉樹』でなければならない」と科学的データで論破したのです。

荒れ地だった代々木。大論争を呼んだ「木の種類」
荒れ地だった代々木。大論争を呼んだ「木の種類」

Generated illustration/photo: are-iina

02

100年後を見据えた「森の世代交代」のプログラミング

本多たちが描いた設計図は、常軌を逸するほど壮大で緻密でした。彼らは「森の世代交代」を計算に入れたのです。

第一段階として、成長の早いマツを日除けとして植えます。 第二段階として、そのマツの下でヒノキやサワラなどの針葉樹を育てます。 第三段階として、数十年後にマツが枯れる頃、一番下に植えておいた日陰に強いカシやシイ(広葉樹)がぐんぐん成長して針葉樹を追い越します。 そして100年後、広葉樹が森全体を覆い尽くし、人間の手を一切借りずに勝手に更新し続ける「永遠の自然林」が完成する。

この完璧なプログラミングのもと、全国から献木された約10万本の木を、約11万人の青年団のボランティアたちが手作業で植えていきました。

100年後を見据えた「森の世代交代」のプログラミング
100年後を見据えた「森の世代交代」のプログラミング

Photo: Syced / Wikimedia Commons / CC0

03

落ち葉一つ持ち出してはいけない究極のエコシステム

大正9年の創建から約100年が経過した現在、明治神宮の森は、本多静六たちが予測した通り、見事な常緑広葉樹の森へと成長を遂げました。

この森には「落ち葉を一枚も森の外へ持ち出してはいけない」という厳格なルールがあります。参道を掃き清めた落ち葉は、すべて森の中へ戻されます。落ち葉が土に還り、微生物が分解し、それが木の栄養となる。この完全な物質循環(エコシステム)を維持することで、肥料や水やりなどの人間の介入を一切排除しているのです。

明治神宮の森は、神聖な祈りの場であると同時に、日本の林学・植物学の最先端の知性が生み出した「科学の奇跡」でもあります。

落ち葉一つ持ち出してはいけない究極のエコシステム
落ち葉一つ持ち出してはいけない究極のエコシステム

Photo: Syced / Wikimedia Commons / CC0

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