舌切り雀

したきりすずめ

舌切り雀

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舌切り雀|なぜ「舌」を切る必要があったのか?欲張りばあさんと大きなつづらが教える嫉妬の代償

基本情報

名称
舌切り雀
読み
したきりすずめ
分類
隣人葛藤譚(同一家族内での葛藤)・動物報恩譚
主な登場人物
優しいお爺さん、意地悪なお婆さん、雀
主な舞台
不詳
物語の基本形
動物を虐待した者が罰を受け、親切にした者が報われる
主な異説・地域差
雀の宿に行く道中で、牛の血や馬の小便を飲まされる試練がある説
この昔話のポイント
雀の舌をハサミで切り取る。昔話の中でもトップクラスに猟奇的なお婆さんの行動は、なぜ起きたのか?大小のつづらが教える、過剰な嫉妬と強欲が招く破滅のドラマ。

01

雀はなぜ「糊」を食べたのか?

事件の発端は、雀がお婆さんの作った「糊」を食べてしまったことです。現代の私たちは化学合成された文房具の糊を想像しがちですが、昔の障子張りなどに使われていたのは、米や小麦粉を水で煮詰めて作った「でんぷん糊(続飯:そくい)」です。

つまり、雀にとって糊は「ごちそう」そのものでした。悪気なく美味しいご飯を食べてしまっただけなのですが、当時は米も貴重品です。苦労して作った貴重な糊を、夫が可愛がっているだけの小鳥に台無しにされたことが、お婆さんの導火線に火をつけてしまいました。

雀はなぜ「糊」を食べたのか?
雀はなぜ「糊」を食べたのか?

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02

猟奇的すぎる制裁「舌を切る」という行為の重み

それにしても、なぜ「舌」だったのでしょうか。叩いて追い出すのではなく、ハサミで舌を切るという行為には、陰湿で明確な悪意が感じられます。

一つの解釈として、お婆さんは雀が「お爺さんと仲良く囀る(おしゃべりする)こと」に激しい嫉妬を抱いていたと考えられます。自分よりも小鳥を可愛がる夫への不満。そのコミュニケーションの道具である「舌」を奪うことは、二人の関係性を物理的に破壊する最も効果的な手段だったのです。「糊を食べた(口を使った)から口(舌)に罰を与える」という目には目をの理論以上に、ドロドロとした夫婦間の愛憎劇が背景にあると読めるのです。

猟奇的すぎる制裁「舌を切る」という行為の重み
猟奇的すぎる制裁「舌を切る」という行為の重み

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03

重いつづらの中身は「魑魅魍魎」。欲の結末

雀の宿を訪ねたお爺さんは、帰り際に「重い大きなつづら(箱)と、軽い小さなつづら、どちらが良いか」と問われ、体力的な遠慮から小さな方を選び、宝物を手に入れます。

後日、強欲なお婆さんは宿に押し掛け、無理やり大きなつづらを奪って帰ります。帰り道で我慢できずに開けてみると、中からはムカデや蛇、一つ目小僧や大入道などの魑魅魍魎(化け物)が飛び出し、お婆さんはショックで死んでしまう(あるいは逃げ帰る)という結末を迎えます。「大きい=価値がある」という短絡的な強欲さが、文字通り自分を食い殺す結果を招いたのです。

まとめ

「舌切り雀」は、可愛い小鳥とのファンタジーの裏に、人間の「嫉妬」と「強欲」というドロドロした感情を克明に描いたサスペンスホラーです。お婆さんがハサミを握りしめた瞬間の狂気と、重いつづらを開ける瞬間の浅ましい期待。昔話は、人間の心の奥底にある醜い部分を、容赦なく抉り出してみせます。

重いつづらの中身は「魑魅魍魎」。欲の結末
重いつづらの中身は「魑魅魍魎」。欲の結末

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