一休さん

いっきゅさん

一休さん

とんち話は江戸の創作? 昔話としての「一休さん」の正体

「このはし渡るべからず」や「屏風の虎退治」で有名な天才とんち小坊主。しかしこれらのお馴染みのエピソードは、江戸時代に作られた「完全なフィクション」だった!

基本情報

名称
一休さん
読み
いっきゅうさん
分類
昔話・説話群
主な登場人物
一休宗純、和尚
主な舞台
室町時代
物語の基本形
室町時代の禅僧・一休宗純の幼少期をモデルにしたとされる昔話・説話群。「このはし渡るべからず」「屏風の虎退治」など、機知(とんち)を用いて難題を解決する物語。
主な異説・地域差
本文では異説・地域差の記載なし
この昔話のポイント
「このはし渡るべからず」や「屏風の虎退治」で有名な天才とんち小坊主。しかしこれらのお馴染みのエピソードは、江戸時代に作られた「完全なフィクション」だった!

01

有名なとんちエピソードの数々

昔話としての「一休さん」には、痛快なエピソードが満載です。桔梗屋の主人から「屏風に描かれた虎が夜な夜な抜け出して暴れるので縛ってほしい」と頼まれれば、「では私が縛りますから、虎を屏風から追い出してください」と切り返します。「このはし渡るべからず(この橋を渡ってはいけない)」という立て札があれば、「端(はし)ではなく、真ん中を歩けばよいのです」と堂々と渡ってみせます。言葉遊びと発想の転換で大人たちをやり込める姿は、まさに天才キッズです。

有名なとんちエピソードの数々

02

江戸時代に出版された「一休関東語」

しかし、歴史上に実在した一休宗純(肉を食い酒を飲む破戒僧)が、本当に幼少期にこのようなとんちを行っていたという記録はありません。私たちが知っている昔話の「一休さん」の物語は、彼が死んでから約200年後の江戸時代に書かれた『一休関東語(いっきゅうかんとうご)』や『一休ばなし』といった笑話集(エンタメ小説)によって作られたフィクションなのです。作者たちが、中国の古い説話や日本の笑い話を、知名度の高い一休の名前を借りて集めたものがルーツです。

江戸時代に出版された「一休関東語」

03

なぜ一休が「とんちの天才」にされたのか?

実在の一休宗純は、権威に反発し、常識をひっくり返すような奇行(正月にドクロを掲げて歩くなど)を繰り返した禅僧でした。この「常識を打ち破る痛快さ」と「天才的な頭脳」というキャラクター性が、江戸時代の庶民にとって「お寺の偉い和尚さんや、お金持ちの商人をギャフンと言わせるヒーロー」としてピッタリだったのです。史実のアウトロー僧侶は、大衆の願望によって、永遠の「とんち小坊主」へと生まれ変わりました。

なぜ一休が「とんちの天才」にされたのか?

SAME CATALOG

同じ図鑑のほかの記事

花咲かじいさん(花咲爺)
はなさかじいさん

花咲かじいさん(花咲爺)

掘れば小判、叩けば餅。シロのチート能力。物語は、シロが裏山で「ここ掘れワンワン」と鳴き、そこから大判小判が出るところから始まります。

一寸法師
いっすんぼうし

一寸法師

お椀の船と箸の櫂で京へ上り、鬼を退治して立派な青年に。そんなサクセスストーリーの裏に隠された、御伽草子版・一寸法師の「娘を陥れるブラックな策略」とは?

かちかち山
かちかちやま

かちかち山

火傷の背中に唐辛子を塗り込み、泥の船で水底へ沈める。お婆さんを殺されたお爺さんに代わり、ウサギがタヌキに行う「容赦なき拷問と処刑」の全貌。

竹取物語(昔話としては「かぐや姫」)
たけとりものがたり / かぐやひめ

竹取物語(昔話としては「かぐや姫」)

月への帰還を前に、絶世の美女が権力者たちに突きつけた「無理難題」。最古の物語とされる『竹取物語』から、かぐや姫が求婚者たちを翻弄した本当の理由と、月に秘められた謎に迫ります。

笠地蔵
かさじぞう

笠地蔵

自分の手ぬぐいまで被せる「究極の無私」。お爺さんが町で笠を売ろうとしても、大晦日のため全く売れませんでした。

金太郎(坂田金時)
きんたろう(さかたのきんとき)

金太郎(坂田金時)

まさかの「赤い肌」?超人ベビーの誕生伝説。金太郎の出自には諸説ありますが、多くの伝説で彼の母親は「山姥(やまんば)」であるとされています。

こぶとりじいさん
こぶとりじいさん

こぶとりじいさん

鬼の宴会で陽気に踊ったら、顔の瘤(こぶ)を取ってもらえた!しかし隣のお爺さんは、悪いことをしたわけではないのに「踊りが下手だったから」という理由で瘤を増やされてしまう。

桃太郎
ももたろう

桃太郎

「桃太郎はお婆さんが食べた桃から生まれた」って知っていましたか?私たちがよく知る桃太郎は、実は明治時代に完成したもの。

三年寝太郎
さっねっねたろ

三年寝太郎

ただのニートかと思いきや、実は壮大なプロジェクトを構想していた起業家!?村を救う土木工事をたった数日で完遂した、究極の「思考型リーダー」の物語。

さるかに合戦(さるかにばなし)
さるかにがっせん

さるかに合戦(さるかにばなし)

猿に親を殺された子蟹が、栗・蜂・牛糞・臼とチームを組んで仇討ちを果たす。異色の復讐劇「さるかに合戦」に見る、地域によってバラバラな助っ人たちの奇妙な顔ぶれと、因果応報のリアル。

舌切り雀
したきりすずめ

舌切り雀

雀はなぜ「糊」を食べたのか?。事件の発端は、雀がお婆さんの作った「糊」を食べてしまったことです。

鶴の恩返し(鶴女房)
つるのおんがえし(つりにょうぼう)

鶴の恩返し(鶴女房)

助けた鶴が美女になる「異類婚姻譚」の王道。この物語には大きく分けて二つのパターンがあります。

うばすて山
うばすてやま

うばすて山

実は日本に「姥捨て」の事実はなかった。「うばすて山(姥捨山)」の話を聞くと。

浦島太郎(浦嶋子)
うらしまたろう(うらしまのこ)

浦島太郎(浦嶋子)

亀を助けて竜宮城へ行き、玉手箱を開けてお爺さんになる。