
01
頼朝の夢に現れた「宇賀神」と、国家平定を祈願した霊水
神社に伝わる縁起によれば、文治元年(1185年)の「巳の年、巳の月、巳の日」の夜、源頼朝の夢枕に人頭蛇身(人間の頭と蛇の体)の姿をした宇賀神(うがじん)が立ちました。宇賀神は「西北の谷に湧き出す霊水で神仏を供養すれば、天下は泰平になる」と頼朝に告げたとされます。 当時、平家を打ち破った直後で世情が不安定であった頼朝は、このお告げに従って谷を探索させ、現在の境内の奥宮にあたる岩窟から湧き出す清らかな水を発見しました。頼朝はここに宇賀神を祀り、霊水を使って神仏の供養を行ったことが、この神社の始まりとされています。 つまり、当初の宇賀福神社の存在意義は個人の財運上昇などではなく、源氏による武家政権の安定と国家平定を神仏に祈るための、極めて政治的かつ呪術的な儀式の場であったのです。

Photo: Ethan Doyle White / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0