富士山本宮浅間大社

ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ

富士山本宮浅間大社

Photo: わたり鳥 at Japanese Wikipedia / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

富士山本宮浅間大社|富士山頂は「私有地」だった? 家康が寄進したスケールと、炎の中で出産した過激な女神

静岡県富士宮市に鎮座する富士山本宮浅間大社は、全国に約1300社ある浅間神社の総本宮であり、富士山信仰の中心地です。 活火山である富士山の噴火を鎮めるため、山霊の浅間大神(木花之佐久夜毘売命)を祀ったことが起源とされています。 関ヶ原の戦いの戦勝を記念して徳川家康が造営した本殿は、全国でも類を見ない二階建ての「浅間造」を採用し、国の重要文化財に指定されています。 富士山の8合目以上を御神体として境内地に持ち、世界文化遺産「富士山」の構成資産としても極めて重要な歴史的・宗教的拠点です。

基本情報

名称
富士山本宮浅間大社
読み
ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ
所在地
静岡県富士宮市宮町1-1
創建・鎮座
垂仁天皇3年(前27年)山足の地に祀ったのが始まり(伝承)
御祭神
木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)
位置づけ
神道
主な見どころ
本殿(浅間造・国指定重要文化財)、湧玉池、奥宮(富士山頂)
主な祭事・信仰
木花之佐久夜毘売命、徳川家康
富士山頂(8合目以上)は神社の「私有地」

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富士山頂(8合目以上)は神社の「私有地」

富士山の山頂に登って、「ここはどこの県だろう?」と考えたことはありませんか? 実は富士山の8合目から上の部分は、静岡県でも山梨県でも、ましてや国有地でもありません。 すべて富士山本宮浅間大社の「私有地(境内地)」なのです。 なぜそんなことになっているのでしょうか? きっかけは江戸時代、関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康が、そのお礼として浅間大社に本殿などの立派な建物を造営し、さらに慶長11年(1606年)に「富士山の8合目以上を神社の領地として寄進する」というお墨付きを与えたからです。 明治時代に一度国に没収されましたが、戦後の裁判を経て、平成16年(2004年)に正式に神社へと返還されました。 つまり、日本一高い場所にあるのは、約400年前に家康が認めた神様の絶対的なプライベート空間なのです。

美しい女神が「炎の中」で出産した理由

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美しい女神が「炎の中」で出産した理由

ご祭神である木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)は、桜の花が咲くように美しいとされる日本神話屈指の美少女です。 しかし、彼女の運命は壮絶でした。 天から降りてきたニニギノミコトと結婚し、すぐに身ごもりましたが、夫から「たった一夜で妊娠するなんて、本当に俺の子か? 国津神(地上の別の神)の子じゃないのか?」と疑われてしまいます。 激怒した女神は、「もし他の神の子なら無事に生まれないでしょう。あなたの子なら無事に生まれるはずです」と宣言し、出入り口を塞いだ産屋に入り、なんと自ら「火を放って」炎の中で出産したのです。 無事に三人の男の子が生まれ、身の潔白を証明しました。 美しさだけでなく、自らの命を燃やしてでも真実を貫く凄まじい情念。 この「火を鎮めて無事に新しい命を生み出す」強さこそが、荒ぶる火山(富士山)を鎮める神様として祀られた最大の理由なのです。

富士山の雪解け水が湧き出す「湧玉池」Photo: Saigen Jiro / Wikimedia Commons / CC0

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富士山の雪解け水が湧き出す「湧玉池」

浅間大社の境内の東側には、「湧玉池(わくたまいけ)」と呼ばれる特別天然記念物に指定された美しい池があります。 この池の水は、富士山に降った雨や雪が地中に染み込み、何十年もの長い歳月をかけて溶岩の間でろ過され、地上に湧き出してきたものです。 1日に約30万トンもの水が湧き出し、一年中水温が13度前後に保たれています。 かつて富士山に登る修験者(富士講の人々)は、必ずこの湧玉池の冷たく清らかな水で身を清め(水垢離)、神聖な山へと向かいました。 火(火山)の猛威を鎮める女神と、そこから生み出される豊かな水。浅間大社は、破壊と恵みという大自然のサイクルをそのまま神として敬う、日本の富士山信仰の心臓部なのです。

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