苗木城

なえぎじょう

苗木城

Photo: Alpsdake / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

苗木城|岐阜の「マチュピチュ」。巨大な自然の岩山に直接へばりつくように建てられた絶景の城。なぜかこの城の壁は、白ではなく「赤土色」だった!?

苗木城を、岐阜の「マチュピチュ」。巨大な自然の岩山に直接へばりつくように建てられた絶景の城。なぜかこの城の壁は、白ではなく「赤土色」だった!?という切り口から読み直します。一般的な城の概要を並べるのではなく、この城でしか成立しない出来事と、現在の姿とのずれを入口にします。

基本情報

名称
苗木城
読み
なえぎじょう
別名
赤壁城
所在地
岐阜県中津川市苗木
築城時期
16世紀に築城
築城者
遠山氏
現在の城郭
自然岩と石垣が融合した城跡として整備されている
文化財・指定
岐阜県指定史跡
巨大な岩にへばりつく「懸造り」Photo: torao t / Wikimedia Commons / CC BY 3.0

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巨大な岩にへばりつく「懸造り」

苗木城(なえぎじょう)の跡地を訪れると、誰もがその異様な光景に息を飲みます。 普通の城は石垣を綺麗に積み上げて土台を作りますが、この城は山頂にある「家ほどもある巨大な自然の岩」をそのまま土台として利用し、岩と岩の隙間を埋めるように石垣を積んでいます。 かつての天守(大矢倉)は、この巨大な岩の側面に柱を立てて空中にせり出す「懸造り(かけづくり=清水寺のような構造)」で建てられていました。自然と人工物が一体化した、まさに天空の城です。

龍が嫌った? 伝説の「赤い壁」

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龍が嫌った? 伝説の「赤い壁」

江戸時代の日本の城といえば、漆喰(しっくい)で塗られた「真っ白な壁」が一般的です。しかし、苗木城の壁は白ではなく、赤土がむき出しの「赤い壁」でした。 地元にはこんな伝説が残っています。「城を白く塗るたびに、木曽川に住む巨大な龍が怒って、嵐を起こして白い壁をすべて洗い流してしまった。だから仕方なく赤い土のままにしたのだ」。 なんとも神秘的なファンタジーですが、史実はもう少し切実です。

伝説の裏にある「極端な財政難」

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伝説の裏にある「極端な財政難」

この城を治めていた遠山氏は、わずか1万石という江戸幕府の中でも極めて小規模な(貧しい)大名でした。 白い壁にするための「漆喰」は当時非常に高価であり、貧しい苗木藩には城全体を白く塗る予算など全くなかったのです。 巨大な自然の岩をそのまま利用したのも、石垣の石を切り出して運ぶコストを極限まで削減するためでした。 「お金がないから、自然をそのまま利用して凄みのある城を作った」。 龍の伝説の裏には、弱小大名の涙ぐましいコストカットの努力が隠されていました。

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